グエル邸 (1886 - 1889)


理論的解釈

 グエル邸パビリオンの結果にいたく満足したエウセビ・グエルは、引き続いて、ガウディに一世帯住宅の建築を委託しました。その当時、バルセロナの中心地だった場所に建設された建物は、グエル家の住宅かつ顧客を受け入れるためのスペースとして役立ちました。ガウディは、グエル邸のための設計を非常に綿密に練りました。ファサードの案だけで20以上編み出し、様々な草案をたてました。建物は、当初グエル家がランブラスに所有している別の建物を拡張するという位置づけで考えられ、実際に結合されたのですが、最終的にグエル家は、この新しい邸宅の方を主要住居にしました。この実業家の一家にとって、この家は経済力と芸術的センスの象徴を意味したのです。

 建設工事が始まったのは、1886年でした。バルセロナが国際エキスポを開催した1888年には、作業がかなり進んでおり、公式レセプションとして用いられました。最も高いファサードの完成を持って、建築終了日としていますが、1890年まで建物の装飾が完全に終わることはなかったと、一般的には考えられています。

グエル邸で注目に値するのは、幾何学システムが取り入れられたことでしょう。ガウディ個人の解釈によれば、ゴシック及びアラブスタイルの影響が反映されているということです。

建物の二つのファサードは、正面ファサードも後部ファサードも、明るい灰色の石が使用され、控えめな印象を与えます。これらの石は、バルセロナ南部のガラフにエウセビ・グエルが所有していた山塊の採石場からとれたものを使っているのです。両方のファサードには、バルコニー式の出窓が備え付けられています。後部ファサードは、木製のベネチアン・ブラインドや格式高い美しさを誇るセラミック使いが目を惹き、その独自性あふれるバーゴラなどが特徴的です。他方、正面ファサードでは、非常に凝ったつくりの石使いと共に、鍛鉄のカタルーニャの盾型紋章が目に付くことでしょう。紋章は、螺旋形に配置され、その周囲には装飾的な飾り帯が、また最上部には、鳥を象った面貌付かぶとが添えられています。この紋章の両端には、建物へと通じる扉があり、閉じた懸垂線状のアーチ型になっています。これらのアーチの最上部には、ティンバヌムを含んだ鍛造された鉄格子があり、そこには波がうねるような字体で所有者のイニシャル、<<E>><<G>>の文字が刻まれています。

建物に入ると、各フロアは四角い形状をしていながら、その一方で6階とも異なった建築構造で作られており、その配置も全く異なっていることがわかります。一階は、馬車置き場を含んでおり、工場レンガで作られました。地下(厩舎にあたる)へ降りたり、二階へ上ったりできるように、工夫されています。最上階は、グエル家の社会的な催し物を行なうことを考慮して作られており、高さ17.5メートル、広さが81平方メートルという巨大な中央広間が際立っています。建物内部は、その素晴らしい装飾、細かいところに行き届いている配慮、建築的解決方法とあらゆる面で驚愕させられるものです。ガウディは、またこの空間を埋めるための様々な調度品、ランプ、ステンドグラスなどもデザインしました。この広間の壁には、小聖堂が組み込まれています。正面には、黒檀と象牙で作られた斜め格子窓のついた階段があり、最上階の部屋へと続いています。この二階には、斜め格子窓がついた開閉式の出窓があり、そこから中央広間が臨めるようになっています。また、この広間の隅には、4つのコンソールが備え付けられ、放物線を描くアーチを支え、屋上よりも高い位置にある中央円錐形を垂直に分断する役割を果たしています。内側から見ると、この構造は、光を濾過する入り口を多数備え付けたドームのようになっており、興味深い採光効果をもたらしています。

建物の仕上げの止めは、幾何学的かつ一つとして同じでない形状をした、20もの煙突と通風管です。これらは、レンガとセラミックのトレンカディスで仕上げられ、中央広間から屋上へと突出し、ひときわ目立つ円錐形をぐるりと囲んでいます。

1910年に、エウセビ・グエルは、この建物から出て、グエル公園に住まいを移しました。グエル邸は、その時から娘のメルセイが住むようになりましたが、1945年にバルセロナの市議会に売却しました。数年間、市議会の舞台美術館として使用された後、1974年から1976年にかけて一階の修復を余儀なくされましたが、エウセビ・グエルとアントニ・ガウディを偲び、その永続性を称え、一般公開されました。

1983年、再び、建物の一般修復が始まり、アントニ・ゴンサレス・モレノーナバロが指揮を執り、修復は1997年に終了しました。グエル邸は、1986年に世界遺産としてユネスコから認定されました。

 

 

 

     
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